「御手洗よ。明日も、あの場所に行くからね」
 歩きながら私は話す。
―何とか上手く行きそうだね。明日だね、了解―
 御手洗から、返事がきた。
「彩花、明日行けば、全て終るかも」
「本当に?」
「と、思うけど。取り敢えず、明日よ! さて、帰ろう」
 彩花と手を繋いで、家に向かう。
「私達、ずっと一緒だよね?」
 肩を並べて歩きながら、彩花は、聞く。
「当たり前じゃない。おかしな事言うよね」
 私は笑い飛ばそうとして、彩花の方を見ると泣いていた。
「どうしたの?」
『あの時も、そう言って離れていったのよ! 憎い!』
 彩花では無い。
 いつから入れ替わったのだろう。
「貴女は、彩花じゃないわね?」
 声の感じから、私は違うと判った。
『どうせ裏切る! 裏切られた私が言うから間違ない!』
「私は裏切らない! 何があっても、彩花の事は裏切らないわ! いい加減、憑くのやめて!」
 パンッと彩花の頬を叩いたその瞬間、彩花が意識を失ったのか、ユラッと身体が傾いて、私は身体を支えた。
(彩花、ごめんね…)
 叩いた頬を撫でる。
 今まで喧嘩しても叩いた事ないのに、私は初めて叩いた。
―安東さんは憑かれやすいから、少しでも様子おかしかったら、軽く叩いて…
 御手洗の言葉の通りにしたけど、心が痛い。