彩花は、人事のように言う。
「彩花も、よ! 御手洗から預かったのは、もう一つあるの」
 そう言って、小さな袋を、もう一つ出した。
「それから、これも受け取ったの」
 私は、帰り際、御手洗から祐美の住所をメモした紙を受け取ったのだ。
「明日、学校終ったらここに一緒に行こう」
「ここって、誰の家なの?」
 一枚の紙切れに書かれる住所を見て、彩花は、聞いてきた。
「アンタに憑いていた祐美という霊の住所。頼まれた物を取りに行くの」
「友達じゃないのに行って良いの?」
 彩花は、警戒している。
 それも無理はない。
「確かにおかしな話だよね。でも、そうしないと、彩花がますます大変になるって、御手洗が言っていたよ」
「そうなの? 御手洗が?」
「何だか御手洗の話に食い付くよね。まぁ良いんだけど」
 私は、溜息をついた。
「えー、何? 望美も御手洗が好き?」
 彩花は、鋭いとこをついてきた。
「まさか。違うって、無い、無い」
 私は否定した。
「ふーん。何か怪しい…」
 疑いの眼で、彩花は私を見る。
「それより、明日、家に行こう」
 今日のところは、それで話を終わらせて、寝ることにした。


「ここかな?」