「彩花、目が覚めたのね?」
「望美……。一体、何があったの?」
 自分に何があったのか覚えてない様子だ。
「肝試ししてて、祐美という少女の霊に取り憑かれてたの」
「うっそ、マジで? 私、大丈夫なの? もうどっか行った?」
 彩花は、質問攻めをしてくる。
「安東さんの身体から出ていったよ。何故か霊に入られてしまう体質みたいだね。今日はもう大丈夫。帰ろう」
 御手洗は、帰り支度をしながら言う。
「また来るわけ? 取り憑くとかもう嫌だ」
 彩花は文句を言い始めたが、私が何とか説得して、私達は廃校を後にした。
「彩花、今日はお泊まりしてあげる」
 御手洗と別れた後、彩花と二人になった。
「望美、大好きよ!」
 彩花は、子犬のようにじゃれて来た。
「そういうのは、家に帰ってからにして」
 私は、彩花の腕を振り払った。
「望美…」
「恥かしいでしょ? 家でなら、いくらでも構わないから…」
「本当?」
 彩花が瞳を輝かせる。
 私の家に着いて、部屋で寛ぐ事にした。
「あ、そうだ。御手洗から預かった物があるの」
 私は、上着のポケットから、小さな袋を取り出した。
「それ、何?」
「粗塩よ。これを部屋に置いてると良いんだって。またあの祐美が来たら困るからね」
「ふーん。そうなの。効果あると良いね」