『勿論、そうするつもり。でも、もう少し良い?』
 御手洗のお経が続く中、祐美は、少しずつ落ち着きを取り戻して、話し出した。
『私が、苛めを苦に自殺して、暫くしたら学校の閉鎖が決って、忘れられると思って、哀しくなった』
 私は、黙って話に耳を傾ける。
「そうだったの。それで、復讐を、思い付いた?」
『そうね。死に追いあったあの人達は生きていて、私が死ぬ羽目になったんだから。誰も来なかったのもあって、本当は、皆も怨んでいるの』
 祐美は小さく笑った。
「一番怨んでる人達が、貴女が、こうして亡くなった事を知って、謝りさえしたら良いのね?」
 私が聞くと、小さく祐美は頷いた。
「墓参りとかでも良いと思わない? 彩花の身体を借りて、貴女を苛めた人達に会っても、きっと気付かれない」
 私が言うと、
『そうかもね。あなたの言う通りかも。私の住所教えるから、事情説明して、私の部屋に行って? ここで、待ってるから』
「このメモ帳に住所書いてもらえる?」
 御手洗は、鞄からメモ帳とボールペンを出すと、祐美に手渡した。
 御手洗からそれを受け取り、すらすらと記入して、メモ帳などを返すと、彩花から出たのか、彩花の身体が、ガクンとして床に倒れた。
「彩花! 大丈夫なの?」
 私は、彩花の身体を揺らす。
「佐々木さん、安東さんは、意識もそのうちハッキリするから、心配はないよ」
 私の隣にしゃがみ、御手洗は、優しい顔でそう言った。
「そうなんだ? 良かった……」
 私は、胸を撫で下ろした。
 暫くして、彩花は、意識を取り戻したのか、ゆっくり起きた。