私は、彩花を抱き締める。
(このまま、彩花と話せないのは嫌!!)
 私は、願いを込める。
 その時、私の腕を振り払って、祐美に乗り移られた彩花は、個室に移動して、
『私は、ここで、酷い目にあったの! 毎日苦しかった! 死にたいと思う程。誰も助けに来なくて、哀しくて、悔しくて、鏡を割って、破片で、手首切って、私は自殺したのよ!』
「助かったかもしれないのに、誰も助けに来なかったから、君は死を選んだのかい?」
 御手洗は、優しい顔で、祐美に言う。
『さっきから、そう言ってるでしょ! 便器に顔を突っ込まれて、苦しくてもがいては、また突っ込まれて…の繰り返しで、私は、ぐったりしてみせたの。そしたら、苛めていた人達は、死んだと思って出て行ったんだと思う』
 そう言って涙を流し始めた。
「辛かったね。君を早くに救って欲しかったよね……」
 御手洗は、彩花を抱き締めた。
 私は、頭では判っていても苛々する。
「御手洗、何とかしてよ!」
 つい、当たってしまった。
「精一杯だ。僕は、精一杯、彼女を宥めてるんだよ。友人が悲しんでる。だから、出てくれないか?」
 御手洗は、怒りを抑えて、説得を再開させた。
『私は、復讐する迄、この身体を返さない!』
「勝手な事を言わないで! その子は、私の大切な親友なの!」
『だから? それがどうしたの? 私にも親友はいたわ! だけど、苛められた瞬間に離れたの! 裏切られた気持ちが判る?』
 かなり興奮した様子で、祐美は言う。