家に帰って押入れの後ろにある
アルバムを取り出した。

ほこりが私を襲う。

『ケホ…ッもぉ~…』

外で誇りをはらって
中身を見た。

[コウチャンの誕生日で]

写真の中にいる2人は
仲良くケーキをほおばっていた。

『やっぱコウじゃん…』

写真の中にいるコウは
あたしの中に入ってくる。

早く思い出せって
叫んでる。

頭が痛い。

『思い出せないよ…』

でも、

さっきの人は

あなたは

   コウでしょう??


「なにしてんの?アンタ」
『あ、イヤ、ちょっとね』
「なんか懐かしいねぇ~みしてよ」
『ちょ…お姉ちゃんッ』

「…コウちゃんじゃん」

え…?

『お姉ちゃん、コウ知ってるの…?』
「は?知ってるもなにも…
 って、覚えてないの??」
『思い出したくて見てるんだよ…』

でもなにか忘れてる。
心のずっと奥の方に大事な何かを
守っている。

硬い鍵で大事にしまっている。

その鍵を自分でも思い出せない位
昔のことなんだろうか。