私は... 裕理なんていう名前じゃなくて... 赤城 南だった。 あの強姦事件の後、運よく通りすがりの警官に発見され、南は総合病院に担ぎ込まれた。 生死の境をさまよった挙句に意識を取り戻した南は、記憶喪失していた。 親のことも兄弟のことも思い出せず、自分が誰かさえわかっていなかった。