「ん、それじゃ帰るか〜」
「そうだね。あ!星だ」
夕日が沈んだ夜空には無数の星が輝いていた。
帰りは必ず颯太が家まで送ってくれる。
「ほんとにすぐそこだから大丈夫なのに」
「一応お前も女なんだから送らなきゃだめなの。いくら近くても危ないし」
こういう優しさも好き。
颯太は、わたしより20センチぐらい背が高いと思う。
この見上げるときの、横顔がすごくかっこいいの。
こんがり焼けた肌も、高い鼻も、長いまつげも、輪郭のラインも。
この時間だけは、わたしだけのもの。
「今日も送ってくれてありがとう」
「はい、どういたしまして。ちゃんと風呂入れよ〜」
「なっ!いっつも入ってるし!」
言い返すと、颯太は白い歯を見せて笑う。
「んじゃ、また明日な」
「うん、おやすみ」
走って帰る颯太の背中を、曲がり角で曲がるまで見つめる。
「今日もかっこよかったなぁ…」
小さく呟くわたしの声は海風と一緒に消えていく。
