砂浜でリフティングをしてる貴方。


わたしは近くの石垣にしゃがんで
そんな貴方を見つめてる。


貴方を好きになって、
5年目になる。


わたし、佐野美結(さの みゆ)
5年間、戸田颯太(とだ そうた)に
片想いをしています。


「やっぱ砂浜だと足とられんな〜」


颯太は毎回それを言う。


「でも海の匂い嗅ぎながらリフティングするのが最高なんでしょう?」


「さすが美結、わかってるね」


何回聞かされたことか。


砂浜でやるのやめればいいのに、って言ったときに言われた言葉。


でも、颯太が砂浜でするのをやめたら
わたしたちの繋がりは、ほとんどなくなってしまう。



「やっぱ海、綺麗だな〜」


いつの間にかリフティングを終えた颯太が、わたしの横に座っていた。


「夕日、沈んでくね」


「もう俺らの日課だな」


「ん?なにが?」


「こうやって2人で海に来て、俺がリフティングしてて、美結は貝殻とか四つ葉探したり、たそがれたりしててさ。
そのあと夕日が沈むの見てから帰るの」


「そうね、ここにこなきゃ一日終わらない気がする」