小悪魔な彼

 
「……う、そだぁ……峰岸くんが初めてなわけないじゃん」


こんなカッコいい人が、今まで何も経験ないわけない。

あたしの経験上、こういうタイプは中学からいろいろなことを経験済みだ。


「本当ですよ。
 ちなみに、女性と付き合ったこともありません」

「はあ!?」


これは絶対にからかわれている。
そう確信した。


だけど峰岸くんはあたしから腕を離すと、一人窓辺へと向かった。


「……俺、高校デビューなんです」

「……え?」


勝手に進められた会話。

高校デビュー?
って、中学までは地味な子が、高校になって急にはじけちゃう感じの?


「中学までの俺は、ほんとすげぇ地味で……。根暗に近かったかな。
 コンタクトもしないで、分厚いメガネかけて……背も今よりも10cm近く低かった。
 高校に入ってからですよ。成長期がきたの」


峰岸くんから吐き出される言葉は、今の姿から想像もつかないことばかり。


この峰岸くんが……根暗……?