「本当に嫌なら、噛みついてでも俺を拒否してください」


真っ直ぐと目を見据え、心までが見透かされてしまいそうな瞳。


「香澄先輩……」
「…っ」


彼の声と瞳は魔法だ。

何もかもを受け入れてしまいそうになる。


ちょっと前までは、三浦先生のことで頭がいっぱいだったはずなのに……
あたしはまだ、三浦先生のことが好きなはずなのに……



「嫌なら突っぱねてください」



そう言って、再び唇を近づけてくる峰岸くんに……



「……」



あたしは拒むことも、逃げることも出来なかった。