小悪魔な彼

 

「な、何言ってんの?
 そんなの無理っ……」

「じゃあ、今すぐ弁償してください。
 三万」

「さ、三万っ……
 ってか、さっきコンタクトだからいい、って言ってたじゃんっ」

「あの時に引き下がっておくべきでしたね。
 でも俺の考えも変わっちゃったんで」

「だからって………
 ほんと、そういうのは無理だから……」



好きでもない人と付き合うなんて無理。

何よりあたし、今まで誰とも付き合ったことなんてないんだから……。


「じゃあ、1か月。
 1か月限定の彼女でいいです。
 それくらいあれば、メガネ代も返せるでしょ?」

「え……」

「それ以上は譲りません。
 今この場で三万払うか、1か月限定の彼女になるか」

「……」


彼の、最初の謙虚さはどこへ行ってしまったんだろう……。