小悪魔な彼

 

「あの……メガネ……割れちゃって……」
「メガネ?あ、ほんとだ……」


あたしからメガネを受け取って、目の前でじっと見つめる。

まるで他人事のような反応をしていた。


「ごめんなさいっ!
 弁償するからっ」

「いいですよ。俺、普段コンタクトだし。
 それにこれ、弁償するって言ったら、かなりお財布に痛いことになりますよ」

「そ、そうなの?」

「はい。
 俺、超ド近眼なので、薄型にするのに特別料金かかるんです」

「……」


ああ…

出来ることならば、時間を巻き戻しにしたい。