小悪魔な彼

 
「………はぁ…」


満足したように言うあたしとは正反対に、颯太はその場に立ち止まって大きくため息をついた。


「え?どうしたの?」


そんな颯太の反応が理解出来なくて、一緒に立ち止まって腕に触れた。


「俺、最低です」
「最低って?」


「猛さんと香澄が、和解してよかったはずなのに……
 どこかで、猛さんが嫌なやつのままでいてくれたほうがよかった、って思ってる自分がいるんです」


「颯太……」


俯きながら、本音を漏らす颯太。

心配しながら顔を覗き込んでいると、颯太はあたしの顔を見つめ返す。