小悪魔な彼

 
「あ、そういえばね」


学校から駅までも帰り道、少しだけ遠回りをして帰っていた。

こっちだと、同じ学校の人も通らず、人目を気にしなくていいから。


あたしは少し溜めながら、話を切り出した。


「昨日、猛にぃに会ったの」
「猛さんに?」


猛という言葉を聞いて、明らかに眉がしかめる。

あたしはあえて気づかないふりをして、話を続けた。