小悪魔な彼

 
   ***


「もー!先生ってば、話長すぎっ」


課題をやってくるのを忘れ、放課後先生からの説教を聞かされていたあたし。

だけどその日は、もともと朱里たちとカラオケに行く約束をしていて、説教をされなくちゃいけないあたしは、一人取り残され、みんなは先に行ってしまった。

長ったらしい説教もようやく終わり、ダッシュで荷物を手に持って階段を駆け下りているところだった。


「えいっ……!って、嘘っ!?」
「え?」


最後の5段を勢いよく飛び降りた瞬間、前から曲がってきた一人の生徒。

すでに飛び降りていたあたしが、彼をよけることなんてできるはずもなく……


ドシンッ!!

「いたたっ……」
「……」


あたしは彼の上に、覆いかぶさる形で転んでしまった。