小悪魔な彼

 
颯太の顔が切なくて
颯太の声が苦しくて


自分の悲しさよりも、目の前の颯太で泣いているようだった。


「俺なんかよりも、ずっと理想のタイプの人がいたんじゃないですか。
 俺はどうやっても、香澄よりも年上にはなれませんですから」

「…っ」


ぶんぶんと首を横に振った。


そうじゃない。
もう年なんてどうでもいい。

年上とか年下とか、そんなことは理想のタイプには入ってないんだ。



「俺は香澄が好きです。

 だから……ちゃんと幸せになれる相手を選んでください」


「颯太!!」



颯太は背を向けて歩き出す。


追いかけたいのに、足は動かない。