「香澄っ……」
「颯太……」


呼び出した、駅近くの公園。

一人ベンチに座って待っていると、慌てて颯太が駆けてきた。


「ごめんね、さっきは……」
「いえ。俺のほうこそ、ちゃんと香澄の手を掴んでいなかったから悪いんです」


決してあたしを責めない。

そんな颯太の優しさ。


だけど今は、どこまでそれを信じていいのか分からなかった。


「葵……ちゃんは?」
「葵ちゃん?現地で解散しましたけど」
「……そう」


それは、あたしが電話をかける前?
それともそれも嘘で、呼び出すまでずっと一緒にいたの?

嫌なことばかり、頭に浮かんでしまう。


「香澄、どうしたんですか?
 何か言いたそうですけど」

「……」


俯き気味なあたしに、颯太は気づいていた。