小悪魔な彼

 
猛にぃは顔を上げ、あたしを見る。

思わず、背筋がぞくっとした。


「香澄……」
「ゃっ……」


思うように声が出なくて、伸ばされた手に体をビクッと震わす。


「……」


だけど、触れられると思っていた頬は、触れることなくひっこめられ、


「……わりぃ…」


猛にぃは、あたしに背を向けた。