小悪魔な彼

 
人が話をしているのに、あくびをするなんて失礼だ。

だけど葵ちゃんは嫌な顔一つせずに、


「それなら、ちょっと寝てなよ。
 猛が帰ってくる前に、ちゃんと起こしてあげるから」

「え、でも……」

「いいからいいから。
 昨日も今日も付き合わせちゃってるんだし、気にせず休んで」

「うん……ありがとう」


普段なら、悪いと思って、せめて家に帰る。

だけど家に帰ることも面倒なくらい、睡魔はすぐそこまで襲ってきていて、お言葉に甘えることにした。