「お邪魔します……」 家は、結構古い感じのアパートだった。 もともと猛にぃの一人暮らしの部屋だ。 そんな贅沢なんかしていられないのだろう。 「さ、あがってあがって」 葵ちゃんの部屋でもないのに、笑顔で招き入れる。 まあ、兄妹なんてそんなものか。 入った部屋の中は、あまり物はなかった。 散らばっているのは、料理の本ばかり。 本当に、猛にぃは料理人を目指しているんだ…と実感した。