小悪魔な彼

 
「な、んで……?」

「ゴールしたら、猛さんが一人でゴールしてて……。
 香澄が一人で走って消えた、って言ったから……。
 もしかして、まだこの中で迷ってると思ったんです」

「それで一人で?」

「ええ。
 結構恥ずかしかったですよ」


苦笑いをしながら、あたしの前に立つ。

よく見ると、颯太は冬だと言うのに汗だくだった。