「え?明日?」
《そー。ダメかな?》
「ううん、大丈夫だよ」


冬休みに入って、3日目の夜。
葵ちゃんからの突然の誘いだった。


《それでね、カップルで行くと限定グッズがもらえるんだ!
 あたし、それが超欲しいの!》
「カップルって……。さすがに女同士で行ってももらえないでしょ」
《そうなの!だからさ、香澄ちゃん、彼氏さん連れてきて》
「は?」


あまりにも予想外の提案に、間抜けな声を出した。

颯太を連れてきたところで、1対2でカップルというのもどうかと思う。


《猛にも頼んで、一緒に来てもらうからさー》
「え……」


それを聞いて、ますます行くのが嫌になった。


猛にぃと一緒にお出かけなんて、絶対に嫌。


「それなら、最初から猛にぃと二人で行けばいいじゃん……」
《そんな場所、兄貴と二人で行ったってつまんないよ!
 グッズも欲しいけど、行くからには楽しみたいじゃん。
 ね?お願いっ》


電話越しから、必死に懇願する声が聞こえる。