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「香澄、彼氏いるんだって?」


香澄の兄の圭介の部屋で、猛と圭介が話していた。


「ん?あ、そー。
 つい最近かな」

「へー。どんなやつ?」

「さあ……会ったことねぇからなー。
 でも年下だってことは聞いたっけ」

「マジ?」

「ああ」


年下……。
確かあいつ、昔っから年上が好きとか言ってなかったか?


猛が、幼いころの記憶を思い出す。


「そういえばお前、昔香澄のこと、好きだったよな」
「そうだっけ?」
「そうだろ」


そう。
俺の初恋は、香澄。


そして今も……



「どうすっかなー」

「何が?」

「いや、こっちの話」



あの純情な香澄を、どうやって振り向かそうか。


俺がこっちに戻ってきた本当の目的は、むしろこっちだ。