小悪魔な彼

 
 
「思い出した?」
「……は、い……」


にこっと微笑む猛にぃとは反対に、顔がこわばるあたし。


だってそうだ。

あたしは昔から、猛にぃが苦手……。


猛にぃは、あたしが8歳の頃まで隣に住んでた。
あたしより2歳上で、お兄ちゃんと同級生。
それもあり、よく家に遊びに来ていたけど、正直ろくな思い出がない。


いつもからかわれ、バカにされ、

あげく……


「かーすみちゃん?」

「…っ」


急に顔を覗き込んできた猛にぃに驚き、あたしは一歩後ずさった。