「もしかして、わかんねぇ?」 きょとんとしているあたしに、帽子を取って顔を近づける。 強面と思っていたその顔は、意外にも綺麗な顔をしていた。 その時、あたしの携帯が鳴る。 「も、もしもし?お兄ちゃん!?」 《あ、香澄?ちゃんと会えた?》 「え?会えたって?」 お兄ちゃんまで、わけの分からないことを言っている。 もともと、迎えに来てくれるのは、お兄ちゃんだったはずだ。