体を前に向けたまま、ちらりと颯太の顔を見上げる。
颯太は表情を変えずに、テレビ画面を見ていた。
颯太は気づいてるのかな…。
キスシーンがあること……。
そのままあたしの目線は、颯太の口元へ。
少しだけ大きく開いた胸元に、ドキリとした。
なんか……
緊張が再開してきた……。
ようやく、今の状況が理解できた。
男の人の部屋に、二人きり。
部屋を暗くし、寄り添う。
見ているのは、ラブシーンのある邦画……。
も、もしかして……
あたし、誘ってるように見える……?
一人あわあわとテンパっていると、颯太がこっちへ振り向いた。
「ようやく、理解してくれました?」
少し呆れ気味に、苦笑する颯太。
あたしは答えることも出来ず、口をパクパクとさせたままだった。

