小悪魔な彼

 
だけど颯太はあたしの腕をとると、


「こっちです」


引っ張って、ホームの真ん中へと向かう。

そこは階段の下で、柱がいくらか立っているせいか誰もいない。


まだ恥ずかしさで戸惑っているあたしを、颯太は壁へ追いやると……



「……んっ…」



そのままキスをした。


「ちょ…まっ……」


どこかで誰かが見ているかもしれないと思うと、まだまだ恥ずかしくて、必死に止めようにも颯太はあたしから離れない。


「……香澄……」


一度唇を離して、あたしの名を呼ぶ颯太。

その声に、心臓をわしづかみにされたようだ。


「颯太っ……」


今度は自ら颯太の頭に腕を回して、もう一度キスをねだった。