区の図書館に入り、空いている席につくと、お互いに教科書とノートを広げた。
これで同じ学年だったら、お互いに教えあうってことはできるけど、学年もバラバラだしなぁ…。
それに、年下の颯太のほうは、成績優秀となれば、あたしが教えることもないだろう。
だけど…
「……」
こんなふうに、向かい合って勉強することが、なんとなく嬉しいと思ってしまう自分がいた。
最初、いくらか雑談をし合ったが、颯太が集中モードに入ったようで、会話がなくなる。
その間、あたしも集中タイムに入り、真剣に教科書とにらめっこをしていたけど、さすがにあたしのほうが集中力がきれるのが先だ。
教科書を半分たて、読みながらちらりと目線だけ前を見た。
伏し目になって、教科書を見つめる颯太。
その目がそのまま横にずれ、サラサラとノートに書きつづっていく。
字…意外に綺麗なんだぁ……。
指も長くて細い……。
目線はそのまま上に行き、再び颯太の顔を見つめた。

