「颯太くん、バイバーイ!」
「バイバイ」


そのまま歩き出すと、クラスの女子が颯太へと手を振る。

笑顔を颯太に向けていたけど、颯太が前を向いた瞬間、グサッと冷たい視線が向けられているのが分かった。


「ほら、あれが颯太くんの彼女」
「えー。なんであの先輩が?もっと可愛い子いるじゃん」


聞こえる……。
女子のひがみ……。


人間とは、悪口だけは妙に聞こえてしまうものなのだ。
 

内容までは聞こえてこなかったけど、そのあともひそひそと女子がこっちを見て話す姿が見えた。


やっぱり颯太ってモテるんだな……。
もしうちの学年に、颯太みたいな人がいたら、絶対に学年のアイドルとかになってそうだし……。

思えば、うちのクラスに迎えに来始めたときも、みんなにきゃーきゃー言われてたっけ。