「それなら、どこか寄っていきましょう」
「え……」
「付き合ってるんですよね。俺たち」
「……」


そう言われては何も返せない。


「言っておくけど、あたし今、お金ないからね」


無駄遣いをするくらいなら、一刻も早くメガネ代を貯めたい。

峰岸くんはくすりと微笑むと、


「お金のないデートって、案外楽しいものですよ」


そう言って、手を差し出した。