「香澄先輩っ」 掃除が終わって、昇降口へ向かうと、峰岸くんが壁にもたれかかって待っていた。 そしてあたしの存在に気づくと、すぐに立ち直して笑顔を向ける。 まるで、ご主人様を見つけた子犬みたいだ。 「香澄先輩、このあと何か予定あります?」 「ないけど」 「ある」と答えればよかったと、言いきってから気づいた。 このバカ正直な自分が時々嫌になる。