あれ?
「でも、だったらなんで…」
「いじめに加わってるかって?」
俺が言い終わる前に牧原さんに遮られた
「それは、潜入調査みたいなものよ」
潜入調査…
「仲間に加わることで彼女たちのしていることを詳しく知り、とどめを刺すため」
そうか、本当はいじめなんてしたくないのにいじめなくてはならない
だから、あのとき辛そうだったのか…
「でも…まだ、首謀者である佐川香織に対する証拠が何もつかめてないの
奴は決して自分の手を汚さない」
確かに、佐川はいつも見ているだけ
傍観者のただ一人になっている
「それじゃダメなの、全ての原因は奴だから
奴が手を汚さない限り証拠はおさえられない」
そう言って、遠くを見つめる牧原さん
その時の牧原さんは今にも壊れてしまいそうなくらい脆かった…
こんな問題を彼女はかかえていたのか…
俺が、守らなきゃ
そう、強く思った