長いのぼり坂が果てしなく続く。

滝のように流れる汗。
辻井薫は歯を食いしばって足を前へ出し続けた。
このぐらいの坂なんてどうって事ないはずなのに、息があがる。

ようやく坂が終わりに近づき、傾斜がゆるむと息を整え、髪をセットし直した。
せっかくセットした無造作ヘアが台無しだ。ハンカチを取りだし、吹き出した汗を拭う。

「ここか。」

目の前には、貴族でもすんでいるかのような屋敷。
白を基調としたバロック式。
完璧なシンメトリー。

そして、大きすぎる門の前には五人の男女がいた。