. 「ほら、ここ」 「え、こんな教室あったんだ…」 連れてこられたのは、誰も使っていない空き教室らしきところ。誰も使っていないにも関わらず、そこはすごく綺麗で。 「…委員長さ、ちょっとは進歩したんだ?」 「え?なにが…」 「手。俺掴んでたのに、振り払わなかったな」 「あ……」 そうだ…、わたし、手を掴まれた。 周りの目ばかり気にして、そっちに意識が回らなかった。 掴まれた手を、逆の手で押さえる。 …不思議と、嫌な気持ちはしなくて。 掴まれた手が熱い。そう感じるのは、気のせい? .