プルルップルルッ

ピッ

今は午後10時すぎ。
そうだね、もう夜だ。
こんな時間に誰と通話してるかって?


『もっし~?海渡~?』
『あ、もしもし?』
『えと、昨日ぶり?』
『だねww』
『うん♪』
『今日は何してたの?』
『ん~、なにもしてなかった?』
『なにもって…ww
 なにかはしてたでしょうに。』
『ん~…。あ!宿題してたかも。』
『なんの?』
『ん?嫌いな数学。』
『おー、数学なにげに得意♪
 教えようか?』


お、教えてもらいたい……。
けど、自力でやらなきゃ……。
それに…


『あたしの馬鹿さがわかっちゃうから
 いやだ☆』
『馬鹿さってww』
『わ、笑わなくったって
 いいじゃんか~!』
『ごめんごめん。』
『ぶ~。』
『あははっ!可愛い~♪』
『可愛くないから。』
『可愛いって。』
『ないない。』
『可愛いのに~。』
『…………。』
『……………………。』
『『………………………………。』』


2人とも黙っちゃったよ…。
どーしよ。

『あのさ…』
『ぅん?』
『好き…』


………ん?


『好き…』
『…………………はぃ!!?』
『だから、好き。』
『え……w』
『いや、マジで。』
『え~?あたし、彼氏いるしw』
『うん。知ってるよ?』
『だよね?だから…』
『でも、関係無い。』
『は?』
『俺には関係無い。』
『あ、はい。』


え………?
ぅん…………。
あれ?

こんがらがってきたあたし。


『えと……?』
『うん?』
『ダメです。』
『だよね~?だけど、俺、
 諦めないから!』
『え…、あ、うん。』
『あははっ!かーいい♪』
『いや、ないない。』
『あるある。』
『ないない!』
『あるって。』
『ぶー。』
『ほら、かーいい。』


それから、何事もなかったかのように
あたし達はいつも通り
盛り上がっていた。



やっぱり海渡の声は落ち着くし、
あたし好みで好き。
一瞬だけ、ほしいと思ったのは
紛れもない事実。


でも、あたしには陸渡がいる。
それは忘れてはならない存在。
しかも、彼は隣人でもあるのだ。