あー、喰い付きたい……。


俺の腕に頭を乗っけて寝てる
俺のお姫様。
人の温もりがないと寝れない美姫。

だったら、俺が……。
なんて、冗談でも言えないな。


「ふ……」


小さな声がして横を見ると、
美姫が泣いていた。


…………準備するか。


俺は美姫が起きないように、そっと
腕を抜き、リビングへと向かう。


濡れタオルを用意して、朝食を作る。
作ると言っても美姫は朝食べると
1日気持ち悪くなるからな。
コーンスープと野菜くらいでいいだろう。


濡れタオルを持って寝室に向かう。
美姫の目の上に乗せ、
その上に小さな氷の入った袋を乗せる。
これで目は腫れないだろう。
問題は声だ。


学校では声や性格すべてを
偽って通ってる。


泣き騒いだあとは声が……な。
まぁ、美姫のことだ。
学校のときの声と多少、高くなるか
低くなるかのどちらかだろう。

それくらいの変化なら誰も
気付かないと思う。


フッと時計を見ると
もう午後9時をまわっていた。


俺は美姫の頭を撫で、ベッドに入る。
そこで重要なことを思い出した。


「……明日休みじゃん。」