「見て見て!あのペンギン
 トサカ生えてる!」
「トサカじゃねぇよ!」
「え!?黄色いトサカだって!」
「馬鹿かww」
「え~?」
「たく、あれを見て……」
「あぁ~、鮫やぁ~♪」
「おい、人の話を聞けよ。」
「うにゃぁ~、かっけ~。」
「はいはい。」
「あ、エイだ!可愛い~♥」
「はぁ!?あれが!?」
「可愛いよ!」
「お前の眼は節穴か!?」
「お、蟹じゃん!美味しそう…。」
「だから、人の話を聞けって。」
「うわ!暗ッ」
「……足元気をつけろよ?」
「は~い♪って、うわっ!?」


段差に気付かなかった!
ヤバい!


「おっと…。」
「…………………。」
「言ったそばから…。」


はぁ…とりっくは呆れたように言う。


「ごめんごめん。」
「このおっちょこちょいめ。」
「にゃは★」
「ほら。」


そう言ってりっくは手を出す。


………これを取れば、偽りは解かれる。
拒めば、偽りは続行。


「ねぇ、そろそろ出よう。」
「え?」
「海……、行こう。」
「…………だな。」


ちょっと不満そうなりっくを置いて、
あたしは先に水族館を出る。






海にて。

~***~***~***~***~***~

ザザァーーーー


「風……、なくてよかった。」
「そーだな。」
「……綺麗。」
「だな。」
「「………………………。」」


お互い無言。
あたしは階段の上に。
りっくは浜に。


いよいよ、きてしまった。


「……りっく、あのね?」
「…………。」
「あたし……さ、こうやって
 楽しくさせてくれるりっくが好き。
 行きたいとこやほしいものは
 時間が掛かってもくれる
 りっくが好き。
 色んなこと与えてくれた
 りっくが………」
「俺も!」
「……?」
「俺も毎日笑ってる美姫が好き。
 俺のために色んなことに
 挑戦してくれる美姫が好き。
 どこか行った時には必ず記念品を
 買ったり、作る美姫が好き。
 甘えん坊な美姫が好き。
 色んな顔をもつ美姫が好き。」
「……………。」
「けどな?そうやってシナリオ通りに
 動く美姫は嫌いだ。
 たまにはシナリオから外れてみても
 いいんじゃないか?」
「……あの時の歌詞ね。」
「うん?」
「新曲の歌詞。
 あたしが予想してる
 これからなんだ。」
「予想?」
「そう。人の感情がないから
 わざとバラードにしたの。」
「なるほど。それが?」
「………。」


シナリオから外れよう。