夜、1時をまわった頃。
いつもなら寝てるはずの隣人…
いや、恋人の美姫が電話をしていた。


「珍しいな…」


通話はあまり好まないアイツが
あんな楽しそうに話してるるなんて…。


ズキッ

胸がそんな音をたてたような気がした。


「嫉妬…か。」


今度家にきたら、お仕置きだな。

なんて、子供なことを考えながら
風呂に向かう。



~***~***~***~***~***~

上半身は裸のままで下はジャージ姿で
リビングへ向かう。


テーブルの上にラッピングしてある袋と
置き手紙があった。


ラッピング…、きっと
自分でやったんだろうな。
少しぐしゃぐしゃになってる。
フッと頑張ってラッピングしる
美姫の姿が浮かんだ。

元から不器用なアイツ
が俺なんかのために頑張ったんだよな。
そう思うだけでにやけてくる…。
端からみたら気持ち悪いだろうなw


置き手紙を開くと今時の丸文字で
<お帰り~♪
 ちゃんと仕事してきのか!?

 今日ね、暇だったからクッキー
 作ってみたんだけど、
 上手く出来たかな?
 味は4種類で形は9種類だぉ☆

 ラッピング、やっぱり
 ぐしゃぐしゃになっちゃた…
 ってか、ラッピングの袋って
 何種類もあるんだね!?
 どれにしようか悩んじゃった♪
 けど、りっくが好きそうな
 クール系選んだのだ//
 気に入ってくれたらいいな~。

 そそ、あのね?
 ついでに渋谷、友達と
 行ってきたんだけど、
 りっくに似合いそうなもの
 見つけたんだ~。

 どんなものか見たい?
 見たいよねぇ~?
 よし!まずはラッピングを
 開けましょう!>


……………まぁ、開けるか。


バンッ!

パーーンッ


「うぉおおおおっ!!!?」

『やーいやーい♪引っ掛かった~♪
 凄い叫び声、あげちゃって~、
 可愛いんだから~♪♪』


「……………。」


今、起きたことを説明すると…
俺がラッピングを開けた途端、中に
仕掛けられてたクラッカーが鳴った。
そして、音声メッセージが流れた…
感じだな。


「……ビビった。」


こーゆー悪戯得意だからな~。


中に入っているクッキーは
なかなかの味だった。


「アイツにしちゃ、上出来だ。」


結構な量が入っていて、夕飯後に
食べるのはちとキツいな。
残りは明日食べるか。


仕事部屋に向かい、PCを開くと
画面に紙が貼ってあった。


<上見ろ!>


上?


俺は上を見ると次は天井に
<まわれ右!>と書いてある紙があった。

俺はまわれ右をするとドアに
<開けて進め!>と書いてあった。

俺はドアを開け直進する。
すると次は<左に曲がって直進じゃ!>と
書かれている。

俺は曲がって直進する。
すると…


「美姫の部屋?」


美姫のって言っても
なりつつある部屋だな。
いったいなにがあるって言うんだ?


ガチャッ

ガンッ


「っ!!?」


なにかが鼻にぶつかった…


…………巨大なぬいぐるみだった。
俺はぬいぐるみを退け、中に入る。


すると……


「………ぇ?」


机の上にCDと美姫が書いた
歌詞があった。
早速、聞いてみると……
バラード曲だった。


「ありえない……」


なにがありえないって?
バラードが嫌いな美姫がバラードを
書くわけないし、第一美姫達は
ロックバンドだ。