「本当に愛してるなら、相手にリスクを負わせちゃいけないの」

「…は?」

「自分の気持ちを押し通すのは“愛”じゃない。相手を尊重してこそ、本物の“愛”が生まれるの」

「はぁっ?」


なんだ、そりゃ。

本人は、自分の言葉に憔悴しきってるけど…

さっぱり意味がわからない。

サチ姉のやつ…一体、ナオに何を吹き込んだんだ?


「だからね、私、龍ちゃんが実習してる間は我慢することしたの。」

「…?」

「誰かにバレたら、龍ちゃんの将来に関わるでしょ?」


……そりゃ、確かに。

ごもっともですけど。


「だから、これ以上はダメ。」


ピッ、と。
人差し指を俺の唇に押し当てると、


「つづきはお家でしよう?」


ナオは、にっこりと笑った。



……なんか、悔しい。



「さ。早く帰ろ…って、龍ちゃん?」


パッと身を翻して、俺から離れようとしたナオ。

その肩を引き寄せて…


「ちょっ、ダメだってば。龍ちゃんは実習…「もう、終わったから。」



俺はもう一度、

ナオの唇を塞いだ――