「飲み会?」


俺が石浜先生と別れたのを見計らって、こそこそと近づいてきたかと思えば、


「そ。ほら、実習もちょうど折り返しでしょ?親睦会を兼ねた反省会って言うか…このへんでみんなでパァーッとやりたいな、って。」


ニコニコしながら、木下は、いつものように一方的に話を始めた。


「みんな、明日なら大丈夫だって言うんだけど…沢木くんも来るよね?」


「来られる?」じゃなくて「来るよね?」なあたり、

俺の予定を伺うつもりはないらしく、参加は決定しているみたいだ。


「“みんな”って?」

「えー?みんなはみんな、だよ。遠藤さんとか高木くんとか町田さんとか…」


木下が挙げたのは、他の実習生の名前。

話したのは初日くらいだから、微妙に名前と顔が一致しないけど…


木下と2人きりじゃないなら、まぁいいか。



「場所は?」

「えっとねー…」







…さて。

ナオには何て説明しよう?

別にやましいことはないけど、あれ以来、木下の名前にはやたら敏感だからなぁ。


……こういうとき、

“結婚”おける規制みたいのを実感する。

飲み会に気軽に参加できなくなったもんなぁ。