結婚したとき、ナオはまだ何も知らなかった。
キスの仕方も。
ましてや、こんな“誘惑”テクニックも…
気持ちよりも先に形だけが整った“結婚”。
とは言え、ナオのことをちゃんと大事にしたかったから。
俺は、ナオの気持ちが追い付くまで待った。
それはもう、辛抱強く。
もちろん、浮気もせずに。
自慢じゃないけど、結婚前は相手に不自由したことなんかなくて。
遊び放題。
“禁欲”なんて縁がなかった。
そんな俺が、かなり頑張ったと思う。
思えば、それがよくなかったのかもしれない……
結婚してから約半年後。
長い禁欲生活の末、ようやくナオのココロもカラダも手に入れた俺は…
狂ったようにナオを求めて、
すべての情熱をナオに注ぎ込んだ。
……だってもう、めちゃくちゃ可愛かったんだよ、マジで。
全部が新鮮で。
毎日が発見で…
ナオのすべてが愛しくて。
これでもかってくらい、全力で愛した。
その結果…
こんな、間違った方向に“成長”しちゃったんだよなぁ。
「……んっ。龍ちゃ…」

