「…ねぇ、先生?」


――放課後。

誰もいない、旧校舎の空き教室。


「いいでしょ?」


静まり返った室内に響く甘い声と。

接近して来る甘い香り。


「ね?ちょっとだけ…」


ねだるような上目遣い。

さりげなく頬に触れる手。

爪先立ちになって、徐々に近づいてくる艶やかな唇…



……っ。



その甘い“誘惑”に、思わず理性が飛びそうになったけど…



「ダメ!」



俺は、寸でのところで我を取り戻した。


目の前の華奢な肩を掴んで…慌ててその身体を引き離す。

制服のブラウスの隙間から覗いた胸元は、ちゃんと“見なかったこと”にする。


……セーフ。


ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間。



「…いいじゃない。このくらい。」


諦めることなく、またもや伸ばされる指先。



「大丈夫だよ。ここなら誰も来ないから…」



こそっと囁いて、小さく笑うと、



「だから……






キスしよ?」