「五年後の……あの桜が咲く頃にはまた会えるんだね」
中庭を見たマリアが、ライトアップされた一本の木を見遣る。
そこには、開花時期にはまだ早いソメイヨシノが風に枝を揺らしていた。
「……そうだな」
「楽しみに待ってるね」
細められたエメラルドグリーンからは、今度こそ溢れた雫が頬を伝う。
またイギリスの屋敷に戻ることを考えれば、直ぐにでもこの場から逃げ出したいだろうに。
「あぁ」
濡れた頬を親指でそっと拭って、もう一度華奢な体を抱きしめた。
五年後───
改めて口にされれば、途轍もなく長く感じるその期間。
「……………………」
俺が君を迎えに行く頃には、この桜は満開に咲いているだろうか。


