「私が此処から逃げ出しても、マーク兄さんに絶対見つかっちゃう。ゆう君が誘拐犯にされて、警察に捕まっちゃうのは嫌なの」
「マリア……」
さすがマークさんと一緒に生活しているだけあって、彼がこの後どう動くかは手に取るようにわかるらしい。
「だから……今は、ゆう君に会えなくても我慢する」
何かを堪えるように、きゅっと眉を寄せる彼女だが……
「我慢、できるのか?」
今でさえ、こんな状態なのに。
約束の日まで、あと五年もあるんだぞ?
「我慢するよ。だって、高校を卒業したら迎えに来てくれるんでしょう?」
それでも我慢すると言うマリアは
「あぁ」
「絶対に?」
「マリアが、卒業した日に迎えに行く」
「……うん。ずっと待ってる」
俺の言葉を聞くと、嬉しそうに笑った。


