「俺の名前は、ゆう「マリア!」」
……あぁ。
確かに俺、「ゆう」までしか言えてない。
まさか、名前を間違えて覚えられていたなんて。
今頃気づくなんてバカだろ、俺。
「俺は……」
咄嗟に本当の名前を伝えようと思ったが
「え……?」
彼女の顔を見て、やめた。
もし今、俺の本名を伝えてしまったら。
もし、彼女がそれを口にしてしまったら……
今夜ここに来たことが、絶対あの人にバレる。
だから。
「俺も、会いたかった」
ただ、ずっと。
心に押さえ込んでいた言葉だけを耳元で囁いて、マリアを腕の中に閉じ込めた。


