だが……
「そろそろ終わる時間だと思うんだけど……」
そう言って、高良さんが玄関扉に手を伸ばした時だった。
───ガラリ。
彼が取っ手に手を掛けるよりも先に、玄関の扉が横にスライドして
「あ…」
「あら、高良さん、丁度よかったわ。今、お伺いしようと思ってたの」
「小田先生」
建物の中からは、高良さんに先生と呼ばれた40代くらいの女が姿を見せた。
───もしかして、この人がマリアのカウンセラーなのか?
そんなことを考えながら、二人の遣り取りをしばらく黙って聞いていれば
「30分後くらいに、夕飯をお願いしたくて」
「お部屋にご用意でよろしいでしょうか?」
「えぇ、いつもどおりで」
「かしこまりました」
「お願いしますね……と、あら?」
初めて俺の存在に気づいたらしい女と目が合った。


