考えてみれば、今の自分は学生服で。
保護者も連れず、こんな山奥まで一人で来る子供なんて怪しくて仕方がないだろう。
一瞬あの人の顔がちらついて、なんて言おうかと迷ったが
「結城と申しますが、今日は宿泊ではなく……こちらに滞在しているマリア・ウィンザーさんに会いに来たんです」
素直に自分の名前を告げれば
「マリア・ウィンザー様、ですか……?」
マリアの名前を聞いた途端、近づいてきた女は表情を凍りつかせた。
その反応を見て、間違いなく此処にマリアが泊まっているのだと確信した俺。
「そうです。いますよね?」
確認するように尋ねれば
「結城様……申し訳ございません。こちらには、そのようなお名前の方はお泊りになっておりません」
数拍の間をおいて、引き攣った笑みを浮かべながらそう答えた。


