『───うるさい。ちゃんと聞こえているから、もう少し声のボリュームを下げろ』
余程耳に響いたのか、マークさんが不快気な声音で返してくる。
その声にハッとして、心を落ち着けるようにゆっくりと息を吐き出した。
「……マリアに何があったのか、ちゃんと教えてください」
もう一度。今度は、落ち着いた声で問いただせば
『…………あぁ』
ゆっくりと、その重い口を開く。
『─────だから、マリアは日本でカウンセリングを受けている』
ただ、淡々と。
業務報告のように、カウンセリングを受けている理由を語ったマークさん。
それを聞いた俺は頭を殴られたようなショックで、彼に言葉を返すことが出来なかった。
「……………………」
今、初めて知ったマリアの壮絶な過去。
祖母に嫌われていただけでなく、まさかイギリスのスクールでいじめにあっていたなんて。
日本に帰りたいと、涙を流していたマリア。
あのパーティーで悲しげに揺れていた瞳の奥には、いったいどれほどのものを抱え込んでたのだろうか───


