「彼を放してやれ。私の大事な客人だ」
「はい」
俺を締め上げている黒服の男に、視線を向けたマリアの兄貴。
それに頷いた黒服に、すんなりと解放された俺だったが、掴まれていた手首は赤くなっていた。
小学生相手に、なんて力で掴むんだよ!
文句の一つも言ってやりたくて、手首をさすりながら俺を押さえ込んでいた黒服を睨み付けたが、フンと軽く鼻であしらわれた。
───むかつく!!
「社長、会議のお時間が迫っています」
黒服に気を取られていると、後方で立っていた秘書らしき男が、腕の時計に視線を落としながらマリアの兄貴に声を掛ける。
「これから、彼と大事な話がある。この後の予定はすべてキャンセルだ」
「……っ!? ですが、先方は既に……」
返ってきた否定的な言葉に、慌てる秘書だったが
「聞こえなかったか? キャンセルだ」
「……っ……畏まりました」
それを一蹴して、強制的に話を終わらせたマリアの兄貴。


